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低圧訓練

投稿日:12月 1日(土)07時35分35秒
>Taeさん 
雅子さまのご出産もまもなくのようですね。
入院されたとのニュースが流れていました。
ご無事にご出産されることを願っています。
ところで、航空生理訓練の内容を良くぞ聞いてくれま
した。少しずつお話したいと思います。今日は大気の
話から。

大気と気圧(標準大気)
高度     気圧     温度   備考
海面     760mmhg  15℃  
5000ft  632mmhg  12℃
10000ft 523mmhg − 5℃  富士山3776m
15000ft 429mmhg −15℃ 
18000ft 380mmhg −21℃  約1/2
20000ft 349mmhg −25℃ 
22000ft 321mmhg −29℃
25000ft 282mmhg −35℃
27000ft 258mmhg −39℃  約1/3
30000ft 226mmhg −44℃  エベレスト8848m
34000ft 188mmhg −52℃  約1/4
40000ft 141mmhg −56℃  約1/5
50000ft  87mmhg −56℃  約1/9
60000ft  54mmhg −56℃  約1/14

民航機は燃費のよい35000ft前後で飛んでいるようです。
ジェットの訓練も概ね35000ft以下での訓練が多いの
ですが、宇宙服のような与圧服を着て50000ftほど上が
ったことがあります。


投稿日:12月 2日(日)06時34分11秒
さて、航空生理訓練のお話。
今日は、訓練内容の話をしたいと思います。
当日、午前中は、2時間ほで座学を行います。
内容は、大気の物理的性質、呼吸と循環、過呼吸症、
低酸素症、減圧症及び圧障害、酸素装置等です。
食事をして、午後から減圧室にヘルメット及び酸素
マスクを装備して入ります。
訓練者は8人でした。
減圧室内に、衛生隊の専門員が1名(今回はWAFさん)
入ります。減圧室の外に、操作員及び監視員、そして
全般を見守る責任者と5、6人のスタッフで行いまし
た。医官の衛生隊長も見守っていました。
先ず、脱窒素のため100%酸素を吸い体の中の窒素
を減らします。減圧すると体に溶け込んでいる窒素が
体の中で気泡化するのを防止するためです。
その後、先ず体の調子を見るために、8000ftまで
上昇して2000ftまで降下です。上昇中は耳の空気
が抜けやすく問題ありませんが、降下中は耳が詰まり
やすいのです。つばを飲み込んだり、あごを動かした
りしながら、降下中は空気抜きを頻繁に実施します。
これでも抜けない場合は、バルサルバ氏法といい、鼻
をつまんで息を鼻のなかに吹き込みますと、耳に空気
が抜けます。
2000ftまで降りて、体に異常がないことを確認し
てこれから、38000ftまで上昇です。
この話の続きはまた明日。

投稿日:12月 3日(月)21時00分33秒
航空生理訓練のつづき。
さて2000ftまで降り、耳の通じも問題ないことを確
認して一挙に38000ftまで上昇です。
10000ft、20000ft、30000ftと経過地点
を放送してくれます。
マスクの頬にあたる部分がプチプチ言います。皮膚の毛
穴の空気が膨張して外に出てくるためでしょうか。
げっぷと放屁をどんどん出さなければ、腹がパンクしそ
うです。気分的に空気が薄いということで、いやな感じ
です。体にいいはずないよな思いつつ、体の熱感を感じ
ながらついに38000ftに到着です。時間にすれば1
0分くらいですが、長く感じます。

さて、ここで低酸素と有効意識時間について。
低酸素症が進行すると、次第に意識が混濁してきて、つ
いには意識喪失をおこしてしまいます。酸素を断ってか
ら低酸素症の症状が明らかに発現し種々の動作や判断力
に障害を及ぼすまでの時間を有効意識時間といいます。

高度          安静時の有効意識時間
10000〜
  15000ft    1時間以内
18000ft      30分
20000ft      5〜10分
25000ft      2〜3分
30000ft      1分30秒
35000fr      45秒
40000ft      30秒
50000ft      10秒

つづく

投稿日:12月 4日(火)04時38分49秒

さて、減圧室をチャンバーと言い、チャンバーに入る
と言います。このチャンバーの続き。
38000ftに到達すると加圧呼吸の練習です。
この加圧呼吸の必要性について説明します。
地上において肺胞内の酸素分圧は100mmhgあります。
低酸素となっても、肺胞内の酸素分圧は60mmhg以上
を確保する必要があると言われています。
この高度が10000ftです。
では100%酸素を吸入したらどうなるでしょうか。
100mmhgの確保は34000ftまで出来ます。
60mmhgの確保は39000ftまで、100%酸素を
吸っていたら大丈夫です。しかしこの高い高度では、
100%酸素を吸っていても、60mmhgを確保出来な
い可能性が出てきます。その為に、不足分を強制的に
肺胞内に押し込み、最低限必要な酸素を確保する工夫
が必要です。これが加圧呼吸です。
加圧された100%酸素は、吸うのは強制的に入って
きますが、吐くときに力が要ります。吐き出す感じで
息を出す必要があります。
さて、加圧呼吸の体験ですが、加圧された酸素を吸い
ながら階級氏名を言うというものです。これがなかな
か難しいことを体験します。
「ビダジザ・・・・」と言う感じです。

つづく。

投稿日:12月 5日(水)04時53分44秒
さて航空生理訓練の続きです。
38000ftの加圧呼吸も終り、降下です。
25000ftまで一挙に降下しました。
ここで、有効意識時間の体験です。
紙と鉛筆を渡されます。1000から999、998
と書いていきます。さあ酸素マスクをはずし、書き始
めました。普通、有効意識時間は2〜3分です。
気圧は地上の約1/3です。感じとして呼吸はまった
く苦しくありません。自覚症状として、身体や顔の熱
感、思考力・記憶力の低下などがあり、外から観察す
ると、唇がどす黒くなります。また自分のつめを見る
とチアノーゼ現象で、白くなります。数字は後で意識
が戻ったときみると、間違えて書いてあったり、みみ
ずがはったような字になっていることが多いです。
これは、危険なので、支援者がしっかり見守ってサポ
ートしてくれます。人によっては限界を試す人がいる
からです。
ここでの教訓は、苦しくないので、酸素ホースがもれ
ていたりすると、気づかないうちに、低酸素症となり
意識を失ってしまうことです。そのため、自覚症状を
しっかり意識に覚えておきました。

つづく。

投稿日:12月 6日(木)04時52分38秒
さて航空生理訓練のつづき。
25000ftでの、酸素マスクをはずしての低酸素症の体験
ですが、有効意識時間内で自覚症状を確認したら、直ちに酸
素マスクをつけて、100%酸素を大きく2〜3回、深呼吸
すると、すぐに正常にもどります。
その後、ゆっくり地上まで降下して前段が終りです。
概ね1時間の訓練でした。特に10000ft過ぎてからの降下
は、耳が詰まりやすいので、耳抜きをしばしばする必要があ
ります。

次は、急減圧の訓練です。
10000ft以上の高度は人体に低酸素、低圧、低温が大きく
影響してきます。この影響を出来るだけ少なくするため、機内
を出来るだけ地上に近い環境を作り出す必要があります。
そのため、機内では、与圧装置を装備し、機内圧を一定に保持
し、温度環境も維持し、高高度環境がもたらす影響を軽減して
います。
T−4では8000ftから与圧を開始します。
8000ftから20000ftまでは、与圧により機内圧力を8
000ftに維持します。その後は一定の圧力差を維持します。
実高度が30000ftで機内高度は12000ft、実高度が4
0000ftでも機内高度は20000ftという具合です。

急減圧は、与圧系統の故障や機体等の破損によって与圧が急激
に失われることをいいます。
例えば、20000ftの実高度を飛行していた場合に被弾して
与圧が急激に失われた場合、機内では8000ftの機内圧力が
一挙に20000ftの圧力に急減圧なされます。このとき、空
気が一挙に倍ほど膨張します。このため、肺の空気を止めると
肺に損傷を受けることになります。処置としては、気道をオー
プンしておくことが必要です。急減圧の瞬間、肺の空気が一挙
に口から吐き出されます。ただちに100%酸素を吸い、10
000ft以下に高度を下げます。

つづく。

投稿日:12月 7日(金)04時54分32秒
低圧訓練のつづき。
急減圧が発生すると、霧が一瞬のうちに発生し目の前が
真っ白になると同時に、空気が口のから大量に吐き出さ
れます。
落ちついて、100%空気を吸うと同時に降下を開始し
ます。これが終了すると地上まで降りて訓練が終了です。

訓練終了後に注意事項として、100%酸素が、中耳に
充満しているため、酸素は体内に吸収される性質をもち
翌日の朝、中耳が負圧となります。そのため、寝る前に
耳抜きを行い、朝にもう一度、耳抜きを行う必要があり
ました。
これで、おわり。


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