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           安全談義     12.8.9

1 はじめに

   C−1事故、ブルーの事故と続き、一連の対策を実施していく上で、安全を強く意識せざるを得ない状態であり そこで、よっちの安全に関しての思いなどを独断と偏見に満ちてはいようとも書いてみたい。


2 安全班長時代

   平成4年、硫黄島から転勤となり某航空団の安全班長になった。航空団の幕僚は初めてで、手探り状態の中での安全幕僚活動であった。毎月実施する団安全会議の準備、同会議の実施及び危険報告の起案等の中で、徐々に安全に関しての考えができあがってきたように感じる。 思いつくままに書き上げると
@ 事故はいつどこで起きても不思議ではない。
A 物事には波があり、事故は弱い部分にでる。
B 月の満ち欠けと事故には相関関係がありそうだ。
C 隊員一人一人の心に安全意識を持たせることが重要だ。
D そのためには班、隊、群、団の組織的活動も重要だ。
E 意外と隊の中には、意志疎通が図れていない、雰囲気の暗いところもある。それは、隊長の言動が結構大きな影響を与えている
F 事故と心には関係があり、心配、不安、恐怖等の考えは、事故を呼び込む作用があるようだ。
G 逆に、前向き、積極的な考え行動は、事故を遠ざけているようだ。
H 仕事に関する知識、能力が安全の基礎である。技能アップは事故レベルを下げ、安全レベルを上げる。しかし「安全レベルが高い」と安心してしまうと、そこに落とし穴がある。
I 誰かが、その人の事を思っていれば、その人に事故は起きない。
J 繰り返しの教育が重要である。
K 等々・・・・・
   結論を言えば、隊員一人一人の知識技能があり、考えが前向きで向上意欲が高く、隊としての雰囲気が明るく意志疎通が図られ、関係セクションの長は、部下隊員の事を常に心に思い描きつつ身上把握し、指導し、心の中まで善導し、特に満月、新月の付近は心を配り、隊のリズムの低調な時にも注意をして仕事をすれば、事故はないし、起きても軽く済む。ただし、事故がないからと慢心しないように心がけることも重要である。
   そんな安全班長時代は、団司令の指導もあり、とにかく足で稼ぐ仕事に心がけた。いろいろな隊があるが、お茶を飲みに行くようにした。知らない所にいくと、皆警戒して安全班長が何しにきたという目で見られた。比較的、知っている人がいるところは行きやすいが、冷たい目の中の隊は行きづらかった。しかし、安全班長が職場に遊びに行っても普通の事となってからはじめて隊の実体が把握できるようになったように思う。 お陰で、この時代飛行安全は無事故で過ごすことができ、安全褒賞を空幕長から受領できた。 このときのエピソードを一つ。安全褒賞を受領する直前に、自分の航空団に食中毒が発生したとの情報を得た。確認する時間を得ることが出来ず、そのまま安全褒賞を幕僚長から頂き、そのまま会食に移行した。食中毒があれば、必ず連絡があるはずだ。心配するなと団司令は言われたが、食中毒を起こした後ろめたさから、食事はのどを通らなかった。団司令も同じ状態であったと思うが腹が据わったすばらしい方でそんな不安な態度は少しもでていなかった。食事が終わり、廊下に出たところで、別の航空団で発生した食中毒であり、数字の書き間違えで自分の航空団が食中毒を起こしたとの間違い情報と判明してほっとした。 航空団の雰囲気は、団司令次第であり、航空団の無事故は、団司令のお陰かなとつくづく感じたものであった。お陰で、楽しい安全班長時代を過ごすことができた。
   ただし、隊員の子供が交通事故で亡くなったことは、非常に残念の一語につき、家族までを守ることのできなかったことを深く反省した。


3 飛行隊所属になってからの安全に関する思い

  基本的には、安全班長時代と安全についての考え方に変わりはない。ただ、直接に隊の雰囲気に影響をする立場となり、隊員の一人一人の安全と幸福に関与しているという責任感を強く感じる。
  安全に関しての重視事項は、
   第1に隊員の自分の仕事に関わる知識技能を向上させること。
   第2に一人一人の安全意識を向上させること。
   第3に安全環境を整えることである。
   そして、これが達成できれば、事故を完全になくすことは出来ないけれど極限は出来るし、事故が起きても極小する事が出来ると考えている。
   ここでも最近思ったことを書いてみたい。
   飛行隊は生き物である。構成する人の総意としての考えや雰囲気を持つし、飛行機一機一機も心を持つし、建物一つ一つも意識を持っていそうである。 この世は、目に見えるもの、5感に感じるものだけに構成されているとはどうしても思われない。5感に感じるもの以外も含めて世界は構成されているように感じる。この中で特に大きく影響するのが、隊員一人一人の心であるように思う。この心を抜きにして安全は達成できないように感じる。だからこそ、職場の雰囲気が明るく、風通しがよく、不具合、不満がすっと流れるような状態が重要と思う。そのため、各班長、小隊長、チーフ、安全係が毎朝集合し、意志疎通を図る時間をもうけている。
   また、隊員一人一人の心情把握に心がけている。なぜかといえば、隊員の一人一人の思い、考え方が、事故を引きつけるし、遠ざけもするからである。いくら飛行隊の雰囲気が良いからと言って、一人の隊員の思いが、事故を呼び起こしてしまう。
  思いは実現するといわれるが、その通りと思う。
  総意としての意識も強いものがある。まずその前に、一人一人の思いを知り、それがマイナスとなるようならば、話し合い、本人が納得できるように善導していきたい。
  次に、飛行機に声掛けすると、答えてくれるような気がする。列線の飛行機に毎朝「今日も頼むよ」と心の中でお願いしている。

  誰かが、その人の事を思っていれば、その人に事故は起きないということに関して述べたい。
  これは、飛行しているものを、隊長、班長、訓練幹部、モーボ幹部、その他の誰でもいいから一人が思い致さば、その飛行機に事故はないと同じ意味でもある。このことは、私の経験上事実である。見える世界だけでは説明できない事であるがどうも本当であるようだ。そのため私は、飛行計画の確認、飛行前のスケジュールボードの確認及び指揮所での勤務の中に、飛行しているそれぞれの機がどこで何をしているかを思いやるように努力している。
   ただし、これだけでは、不十分であり、実際、足で稼ぐことを自分に課している。毎日列線に顔を出し、整備員の顔、姿を自分の目で見て、飛行機をたたいて、がんばれよと声をかけることにしている。整備員の控え室にも入り込んで、お茶一杯を頂くことにしている。特に話があるわけではないが、こんな事が、好きなのかもしれない。
  それで感じることは、隊員の事は、外見上のことは、知ることが出来るが、心の中の光り輝くものを見るまでは、なかなかできない。実はわたしは、ホームページをもっているが、この中の掲示板によく学生が書き込んでいる。飛行訓練だけをみていれば、私は、教官として、学生のうまい下手を評価して、その延長上で学生の人物をみていたが、とんでもない。人間としてもっと光り輝くものが掲示板文面上で現れており、うれしくなることがある。こんなところまで、隊員一人一人をみられたらいいなと思う。自分から飛び込んでいかなければなかなか出来ない。

  気象に関しては、思い通りの気象にはなってくれない。浜松は、比較的天候がよい。ただし、学生の単独飛行は気象制限の敷居が高く、浜松ローカル天気の特性で、厳しいときがある。 梅雨時、学生の夜間単独で計画しては、出来ず3週間ほど延びたことがあった。訓練キャンセルしたら、その後晴れて、悔しい思いをした。しかし、そのときの判断を大事にし、安全第一、無理せず、気象とはけんかせず、ありがたく飛行できることに感謝してこれから実施していきたい。 また、気象に関しては、データーとして活用し、観天望気をし、自分の感性、他のパイロットの感性を重視したい。

  琴線に触れる言葉があったので掲載する。これは、元の職場の上司の方が雑誌に掲載したもので、私の言葉ではないが、安全に関することであり許しなく掲載することを許して頂きたい。

       運航決心
      予報官は情報提供者であって、
      運航の決心は我が心の内にあり
      明日の飛行は、
      やるんだ出来るんだ というお互いの強い信念が
      好天化ならしめる。
      今日の飛行においては
      止める勇気と引き返す勇気が
      永久の飛行安全の真髄なり
      時期を待てば 航空輸送に代替えあり
      このことを肝に銘じ
      慎重かつ大胆に
      運航の決心をせよ


     飛行教育について述べたい。学生は、飛行中心の技術教育が主になりがちであり、ほかの生活、考え方等まで教官は見ることが難しい。人格的におかしくても、操縦がうまければ、人格面のおかしいところが目に付かない。同期には同じで生活をしているので分かるが、なかなか教官にも私にも見えない。飛行教育は、技術面だけでなく、なぜそのような操作になるのかの考え方をたたき込みたいし、人間教育もしていきたい。このためには、学生の中にもっと入り込まなければならない。こんな考え方を、教官を通じてすこしづつ浸透させていきたい。

4 おわりに
  事故は、飛行隊全体の弱いところから、発生する。整備員が弱ければ整備員から発生するだろうし、教官が弱ければ、教官から発生する。学生が弱ければ学生から発生する。飛行機が弱ければ、飛行機から発生する。時期により、それぞれが強いときもあるし、弱いときもある。全体的に満月と新月は、低調になる。これらのことも着意し、よっち一人では、任務も事故防止もたかがしれているので、皆に協力してもらい安全を確保していきたい。また、隊長自ら身を正し、任務を達成する姿勢が重要であり心したい。
  最後に元上司の方の言葉をここでまた紹介したい。

      知識・技能のみにて
      飛行安全は確保できず
      目に見えない心が大事
      乗客に信頼される心
      機体をいたわる心
      感謝・感動する心
      されど 知識・技能なくして
      安全な飛行ならず